現代社会は、インターネットやデジタル技術の飛躍的な発展により、かつてないほどの情報が瞬時に共有される「情報化社会」となりました。私たちはスマートフォンやパソコンを通じて、世界中の出来事をリアルタイムで知ることができ、知識や経験を広く共有することが可能になっています。情報技術の進歩は、社会や経済の発展を加速させるだけでなく、私たちの生活をより便利で豊かなものにしてくれました。
しかし、この急速な情報化の流れの中で、私たちは新たな課題にも直面しています。フェイクニュースや誤情報の拡散、個人情報の漏洩、インターネット上での誹謗中傷、デジタルデバイド(情報格差)、そして情報過多による選択の困難さなど、情報化社会ならではの問題が深刻化しています。技術が進歩する一方で、それを適切に活用するための知識やリテラシーが求められています。
私たちが目指すのは、こうした情報化社会の課題に対応しながら、「知恵のバトン」を次世代へとつなぐことです。私たちの知識や経験を大切にし、未来を担う世代に正しい情報の使い方、倫理観、そして情報を活用する力を伝えていくことが重要です。情報は単に受け取るだけでなく、それをどのように活かし、社会の発展に貢献できるかが問われる時代になっています。
そのために、私たちは以下の取り組みを進めていきます。
フェイクニュースや誤情報が拡散しやすい現代において、情報を正しく読み解く力(メディアリテラシー)が求められています。学校教育や地域社会において、情報の正確性を見極める力を育む講座やワークショップを実施し、より多くの人々が「情報を受け取るだけでなく、批判的に考え、判断できる力」を身につけられるよう支援していきます。
情報技術の発展が進む一方で、高齢者や経済的に困難な状況にある人々が十分にデジタル技術を活用できず、社会の中で取り残されてしまう問題が発生しています。これを解決するために、高齢者向けのスマートフォン・パソコン講座、低所得者層向けの無料オンライン学習プログラム、地域でのITサポート活動を推進し、すべての人が情報の恩恵を受けられる社会を目指します。
SNSの普及により、個人が自由に情報を発信できるようになりました。しかし、その自由の裏には、誹謗中傷やプライバシー侵害といった問題も潜んでいます。インターネット上での言動が他者に与える影響についての意識を高めるために、ネットリテラシー教育を強化し、個人の責任ある情報発信を促していきます。また、被害者支援のためのカウンセリングや法的支援も充実させ、安全なインターネット環境を整えていきます。
情報化社会のメリットを最大限に活かすためには、データや知識をオープンにし、社会全体で共有することが重要です。政府や企業の持つデータを活用し、環境問題や地域課題の解決に役立てる「オープンデータプロジェクト」を推進します。また、データサイエンスやAI技術の教育を充実させることで、次世代のリーダーが新たな価値を生み出せる環境を整えます。
情報技術は日々進化し、私たちの生活や社会のあり方も変わり続けています。その中で、私たちは「知恵のバトン」を渡し続けることで、世代を超えて知識や経験を共有し、持続可能な社会を築くことができます。情報を単なる消費の対象ではなく、未来を創造するための「財産」として活用し、より良い社会を共に作り上げていきたいと考えています。
私たち一人ひとりの行動が、情報化社会の未来を決定します。正しい知識を持ち、情報を適切に活用することで、すべての人が公平に情報の恩恵を受け、安全で豊かな社会を築くことができます。
この取り組みを実現するためには、皆さまのご理解とご協力が不可欠です。「知恵のバトン」をつなぎ、より良い未来を共に創り上げていくために、どうか皆さまのお力をお貸しください。私たちは、知識と経験を共有しながら、すべての人が情報を活用できる社会を目指し、歩みを進めてまいります。
特定非営利活動法人 知恵のバトン
理事長 田中 歩